河内長野市の歯医者・歯科医院 ふくしげ歯科 千代田駅徒歩10分 歯周内科(歯周病治療)

ふくしげ歯科
〒586-0006 大阪府河内長野市松ケ丘中町1290-1
コノミヤ河内長野店 2階

糖尿病を放置している患者さんの歯科治療は危ない。ちょっとした抜歯で死亡例も

2014.07.15

炭水化物って美味しいですよね。大阪人はラーメンライス、焼きそばパン、お好み焼き定食(お好み焼き+ご飯)、うどんにかやくご飯などダブル炭水化物が大好きです。こんなに美味しいのに、糖の取り過ぎが長年続くと、糖尿病になってしまうのが困ったところです。

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大阪コナモン道より うーん、シズル!

さて、歯科治療を行う際に、糖尿病であることはかなり問題になります。どうしてかというと、糖尿病をきちんと治療していない人は、歯科治療で大変な事になる可能性があるからです。中には、歯を抜いただけで命を落とす人もいるぐらいなんです。

糖尿病って何が困るの?

影響の出方は色々あるんですがおおざっぱに言うとこの2つです

1.血液中に糖がたくさんあり、血管のタンパク質と反応して血管がぼろぼろになる。

動脈硬化が進み、高血圧、心臓病、脳卒中などを引き起こします。

2.体内の化学反応をおかしくしてしまい、免疫機能がきちんと働かなくなる。

ほんの小さなケガでも、普通には治らず膿んだり壊死したりして、おおごとになる人も。

糖尿病が歯科の領域に与える影響について

糖尿病は全身の病気ですから、当然口の中にも影響は出るわけでして。

歯周病

そもそも、歯周病と糖尿病はお互いにお互いを悪化させる関係にあります。歯周病が悪いと菌が出す毒素でインシュリンの効きが悪くなります。また、糖尿病が悪いと、体が歯周病菌と闘う力が低下します。

低血糖発作

うちでは経験したことがありませんが、治療中に低血糖発作を起こす方もいるようです。対処が適切でないと脳に損傷が起きたりする事もあります。

口渇

唾液が減る。これは歯にとっては大変な事なんです。唾液の洗浄作用、殺菌作用でむし歯や歯周病が防止されているので、唾液が減るとこれらの病気が大いにはびこるのです。

普通の麻酔が使えない

健康な人に使用する、作用時間が長く、効果のしっかり出る麻酔、キシロカインやキシレスレシン。その説明書きには「糖尿病の人には使っちゃダメ」って書いてあります。だから、利きが甘くて、すぐ醒めてくる麻酔しか使えません。

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この麻酔薬は糖尿病の方には使えないわけです。

感染しやすく・傷が治りにくく・薬が効かない

糖尿病のせいで自分の体を守る機能が大きく損なわれた結果、このような現象が起こります。昔、日本口腔感染症学会の発表で、糖尿病持ちの女性が歯ぐきが腫れてるのに旅行に行ってしまい、アゴやのどまで腫れが広がり亡くなったケースを見ました。写真を見て「人間の顔ってこんなに大きくなるのか!」と開業医の私は驚いたものです。また、糖尿病患者さんの歯を普通に抜歯したら、急激に膿がたまって腫れ上がり結局は亡くなってしまったという事例もあるのです。これらの患者さんは抗生剤の点滴をガンガン打っても感染と炎症が治まらないんです。というのも、抗生剤は人間の免疫の仕組みなどをうまく利用して効果を現すものが多く、その仕組み自体がおかしくなっていたら効果が出にくいのです。

うちでも、糖尿病の患者さんは抜歯後いつまで経っても傷がきれいに治らないとか、腫れに対して通常の処置(歯ぐきを切って膿出しをし、抗生剤を出す)をしても治療効果が薄いとか、歯周内科治療である種の菌を減らそうと抗生剤を使用してもちっとも減らないとか、色々経験します。「やっぱり体の防御が弱くなるんだなぁ」と驚きます。

じゃあ、糖尿病の人は歯の治療はできないの?

というと、そんなことはありません。血糖値を上手にコントロールしていて、感染のコントロール(抗生剤の上手な使用)などをキチンと行えば、安全性は高まります。

大事なことは、普段からしっかりと糖尿病治療に取り組んでいること、それから歯科医院側にご自身の病状を正確に知らせることです。自分で自分の病気のことを良く理解し、検査結果、使用しているお薬など、できるだけ沢山の情報を歯科医院に引き渡して下さい。そうすれば、やってはいけない事が見えてきます。日頃のコントロールと情報の共有で歯科治療をより安全なものにしていきましょう。

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