河内長野市の歯医者・歯科医院 ふくしげ歯科 千代田駅徒歩10分 歯周内科(歯周病治療)

ふくしげ歯科
〒586-0006 大阪府河内長野市松ケ丘中町1290-1
コノミヤ河内長野店 2階

「お薬で歯周病治す歯周内科治療」って普通の治療とどう違うの?

2014.07.19
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先日とある歯科医師のグループで歯周病治療と院内感染防止対策についてお話ししてきました。普段なら歯周病にばかり質問が集まるのですが、さすがに昨今の相次ぐ滅菌報道で院内感染についての質問が多く上がりました。このグループは、AED口腔外バキュームなどの共同購入を行っていて、例の外来環を申請している比率があり得ないぐらい高いのです。やってる事のレベルが高い上に、頭が良いですね。こんなグループならメンバーもその地域の患者さんも嬉しいですね。

 

さて、この講演のため当院の歯周内科治療の症例をざっと見返して。こんな風に治療をするんだよ、というのをまとめておりまして、そういえば歯周内科治療について詳しくご存じない方も多いのではないかと思い、ここで取り上げることにしました。

保険治療などで行われている従来の治療法を「従来型」、ふくしげ歯科で行っている歯周内科治療を「歯周内科」、両方とも同じ部分を「両者共通」とします。

診査・検査

両者共通:問診、目で見る、レントゲン

 

従来型:ポケット検査(ポケットに先の丸い針を差し込んでどのぐらいの深さまで入るか調べる。)

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歯周内科:位相差顕微鏡による菌の観察、リアルタイムPCR法(菌のDNA検査)による菌の種類と数の検査

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診断基準

 

両者共通:歯ぐきの様子(色、腫れ、出血、膿など)、レントゲンで見える骨の溶け具合、歯の揺れ

 

従来型:ポケットの深さ

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サンスターより

 

歯周内科:位相差顕微鏡による菌の観察、リアルタイムPCR法(菌のDNA検査)による菌の種類と数を調べる。

 

治療法

 

従来型:歯石取り、歯磨き、手術(要するに歯石やプラークなどの汚れを手でこそげ落とす)

 

歯周内科:検査結果に基づいて、菌の種類に応じて薬を処方し、菌の種類と量をコントロールする。そののち、従来型と同じように歯石やプラークなどの汚れを手でこそげ落とす。(この、治療の順番が大切です)

処方箋

 

治療効果

 

従来型:じわじわと改善してくる。感染部位を掃除するだけで、感染をコントロールする訳ではない。感染の原因となる菌が残っているため治療効果が出にくく再発しやすい。

 

歯周内科
1週間で腫れ、出血、膿などがスッキリ無くなる(もし残っている部分があればそこは歯周病ではなく、歯そのものにトラブルがあるということがわかります。たとえば根っこが膿んでいるとか、歯の根が割れているとか)
感染の原因となる菌を根本的にやっつけるため再発しにくい。

メリット

 

従来型:保険が使えるため、気軽に治療を受けられる。

 

歯周内科:歯周病は感染症であり感染している原因菌をしっかり特定し、除菌するので、根本原因が解決することになる。炎症を抑えてから汚れを落とし始めるので、出血がほとんどなく、痛みや菌血症が起こりにくい。根本原因を解決しているので再発しにくい。

問題点

 

従来型:検査が非科学的かつ精度が低く、しかも危ない。歯周ポケットに針を差し込んで、何㎜入るか計るのだが、計る人によって検査結果に大きな誤差が出るし、同じ人が計っても、都度ごとに大きな誤差が出る。そのためポケット検査の精度を上げるために徹底的なトレーニングを行ったりして、涙ぐましい努力が繰り広げられてきた。しかし、ポケット診査は、病気が進んだ結果の歯ぐきの形を計測しているに過ぎず、その部分の歯周病が現在どの程度活発に進行しているかを表すものではない。

また、歯周病菌が感染したままの歯ぐきに出血を伴う検査や処置を行う。ポケット検査をしたり、歯石を取るだけで歯茎が血まみれになる。、血管が破れて出血し、その部分から歯周菌が血管内に入る。献血に行くと渡される紙に「最近歯科治療(歯石取り)を受けた人は献血できません」と書かれているのはこのため。お口全体の歯石取りをした後、菌血症のため発熱する人が出るという論文もある。

重度の歯周病の人は炎症のある部分を掃除したり、メスで手術したりするため、治療が痛くて辛いものになりやすい。

原因となる菌の数は減るが、とはいえ、感染したままなので、再発しやすい。

 

歯周内科:薬には副作用がつきもので、ある一定の確率で副作用が現れる。(これは風邪薬や痛み止めにも言えることで、この治療だけの問題ではありません)

薬に対してアレルギーを持つ人がいて、そういう人には使える薬が限られる。

保険が使えないため、費用がかかる。(現在、検査と治療が保険に導入されるよう働きかけの活動をしています)

菌血症は危ない

先ほど治療の順番が大切と言ったのは菌血症を防止するためです。菌血症というのは、血液の中に菌が紛れ込む事です。菌がウジャウジャいて炎症がある部分を掃除や検査などで触ると、必ずと言って良いほど出血します。血が出るという事は血管が破れているという事です。破れた部分からウジャウジャいる菌が血管内に入り込みます。これを菌血症と呼び、血管が詰まる原因になったりして、危険なのです。

そこで、国際歯周内科学研究会では菌を少なくし、炎症を抑えた後に、ポケット検査やお掃除をする事を進めています。

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サンスターのポスター「White Family dental-site」より

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