河内長野市の歯医者・歯科医院 ふくしげ歯科 千代田駅徒歩10分 歯周内科(歯周病治療)

ふくしげ歯科
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ヘルスケア大学でやたら多くの歯科医師が監修医になっている理由

2017.05.25
カテゴリー:

不正確な医療情報を含む第二のWelqとしてネット上で騒ぎが広がっているヘルスケア大学(医療情報サイト)の問題について。

 

「ヘルスケア大学問題」これまでのあらすじ

ヘルスケア大学問題といっても「なんだそれ?」という感じの人も多いと思うので簡単に説明しておきます。ヘルスケア大学というのはそういう名前の大学ではなく、健康情報サイトの名前です。(あえてリンクは張りません)その内容が「これって医学的にどうなのよ」ということで今問題になっているのです。

 

ちょっと前に株式会社DeNAの健康情報サイトWelqの内容が「あまりにもでたらめ」とネットで炎上し、その後、新聞やテレビでも繰り返し報道され、サイト閉鎖に追い込まれたという事件がありました。結構な騒ぎだったのでご存じの方もいるでしょう。何しろ「肩こりの原因は幽霊」なんていうトンデモぶりだったので閉鎖もやむなしという感じでした。Welqには、当ブログからも内容を抜かれていましたが、忙しかったし閉鎖されちゃったしで「まあいいや」とスルーしておりました。

 

そんなことより病名で検索を掛けると必ずWelqが上位表示されてうっとおしかったのですが、消滅してくれたので清々しい気持ちになっていました。ところがWelqが消えたその場所に登場したのが今回の「ヘルスケア大学」だったのです。何を調べてもうっすい内容のページが検索上位に出てくるので、毎回スクロールしてちゃんとしたページを探さなければならず迷惑していました。私のように思っている人はたくさんいるはずですので「そのうちここも炎上するな」と思っていたところ先日、遂に騒ぎが勃発しました。

 

私の中では、SEO(ネット検索で上位に表示される方法)の専門家である辻正浩さんが問題を指摘して、五本木クリニックの桑満先生がブログに書いて、マーケターの永江一石さんがSNSでシェアする頃にはだいたい後戻りできないぐらいに話が大きくなっている、と受け止めています。今回もいつものパターンが踏襲されていくのを目の当たりにして「やっぱり来たか」と思いました。辻さんが4月半ばに取り上げ、5月20日に桑満先生がブログを書き、永江さんがシェアするという流れでした。バレーボールのレシーブ、トス、アタックみたいですね。ここまでくると後は早いわけで、2日後の5月22日にはYahoo!ニュースで取り上げられ、その日のうちにレガシーメディア(新聞、テレビなど)が動き始めました。とはいえWelqの時もそうでしたが、私自身はかかりっきりになりたいことがあるので、この問題に関わる気などさらさらありませんでした。

 

4月13日の辻さんのツイート さすがに早い!

 

桑満先生のブログ

「ヘルスケア大学さま、走りながら間違いを訂正するのは、かなり厳しいかと。」

 

永江さんのブログ

健康被害を与えかねない内容のヘルスケア大学に名前を貸す数千人のお医者さんたちってなに?

 

 

2,000名の歯科医師の登録を発見

Welqはずぶの素人が書いた解説をノーチェックで掲載していたため、たくさんのデマ情報が紛れ込んでしまったわけですが、それに対してヘルスケア大学のウリは数千名の医師による監修を受けたサイトというものでした。でも、内容をみてみると医学的知識がある人が書いたとは思えないものが多数含まれており、本当に医師が監修してんのかな?という疑問があったわけです。で、5月20日の時点で遂に炎上フラグが立ってしまったので、どんな人が監修医をしているのかチラッと見に行きました。そこで私は監修医としておよそ2,000名の歯科医師が登録されているのを発見してしまったのです。

 

歯科医師がだいたい10万人ぐらいなのでその2%、現役で診療しているのが8万ぐらいといわれているので現役歯科医師の2.5%が登録していることになります。当然のことながら知り合いがめっちゃたくさんいました。傍観者を決め込んでいたのにいきなり身近な問題になってしまいました。

 

なぜ、こんなにとんでもない数の歯科医師が監修医として登録されていたのか?

そもそも歯科の記事が176なのになぜ2,000名もの歯科医師が登録していたのか?あまりにも不自然に多いので、誰か歯科業界内部の会社が関わって組織的に営業をかけたのではないかと疑い、友達の先生に聞いてみました。すると、以下のような経緯で登録がなされていたとのことだったのです。

 

ヘルスケア大学から電話が掛かってきた
→「正しい医療情報を届けたいので監修医としてご協力を」と依頼される
→「ああ、それは大事な事だよね、良いよ」と引き受ける。
→「じゃあ契約しましょう」
→監修の契約書を交わす
→その後、監修依頼は来ない(そら2,000人で176記事だしね)
→本業が忙しいから登録したこと自体すっかり忘れてしまう

 

医科の方は監修医数に対して記事の数が多いので、監修依頼が来ていた可能性もあるわけですが、歯科の方はとりあえずこんな感じです。

 

ちなみに医院の宣伝になるから売名行為として名前を載せたんじゃないか、という噂も出ていましたが、内情を知る者として、それはちょっと違うと感じました。何でかというと

 

1.この監修に関して金銭の授受が全くない(売名行為なら普通はサイト側がお金を取る)

2.掲載されている先生の名前を見ると、患者さんが多すぎて困っている人がほとんど。というか、経営難で困ってるのとは真逆の臨床や経営がしっかりできてて、患者さんが無茶苦茶多くて、歯科医療業界への貢献度も高い人ばっかり。

 

これ、ぶっちゃけ知り合いがいるからかばってるんじゃないんですわ。実はメンバー見た瞬間「あ、これは何かおかしい」と思ったんですよ。こういうところに載りがちな面々だったらすんなり納得したんですけど、予想とは真逆であまりにも居そうにないメンバーだったから妙だと思ったんです。

 

だからSNSでわざわざ呼び掛けて、どういう経緯で登録することになったかを確認したんです。まあ、結局のところ「正しい医療情報提供のために力を貸してほしい」といわれて「一肌脱ぐよ」という経緯で登録していたわけです(複数の別ルートから同じ話が出てきたので恐らく本当)。

 

人の善意を踏みにじるような結果になってしまってて、私としても腹立たしい限りです。名前を載せていた方の中で「今回の事、取材に応じてきちんと一般の方に知ってもらう手伝いをするよ」という方がいらっしゃいましたらご連絡ください。こんな時に黙ってると後ろ暗いことがあるんじゃないかと思われちゃうので、この際、匿名でも良いのでしっかりと伝えといたほうが良いと思うのです。って何人かに呼び掛けたけど、みんな気が萎えてしまってて誰も応じてくれませんでした。ガックリ来ちゃう気持ちも分かる。

 

まあ、こんな時代ですので私たち歯科医師もネットリテラシーを高めて、自分の名前が出る媒体をしっかり選ばなければなりません。専門家としての名前が出るという事はお墨付きを与えるという事につながりますので、慎重に事を運ぶべきでしょう。

 

人にだけ恥をかかせる私ではない

はい、ここまで偉そうに話してきましたが、私も最近あるサイトから登録を抹消しました。歯科界の食べログみたいなところがあって、飲食店が食べログに詳細情報を載せる感じで「とりあえず載せとくか」ということで掲載してたんです。すると下記のように、またもや辻さんのミサイルが発射され、これに永江さんが乗って黄金の炎上トライアングルが完成するかと思ったらヘルスケア大学問題が勃発してこの話は吹き飛びました。その陰でそっと掲載を取り下げていたことをここで正直に告白いたします。

 

 

 

このEPARKという歯科医院ポータルサイトですが、どうもステマ疑惑があったようで、そのことを指摘するブログを書いた人がいました。そのブログをDMCAを利用して検索に掛からないように工作していたのが問題になっていたのです。DMCAっていうのは初耳の方が大半だと思いますが「このページは私の著作権を侵害しているので検索に掛からないようにしてください」などとGoogleなどにお願いするシステムです。このシステムを「当社に都合が悪いことが書かれたブログなどが検索に掛からないように使っちゃおう」と悪用する会社が後を絶たず、問題になっているのです。

 

誰かの個人ブログで疑惑の指摘をされただけならさほど問題になりませんが、DMCAの悪用となるとネット関係の人が非常に強く関心を持っていることなのであっという間に問題が大きくなります。web業界に身を置いていたらDMCAの悪用がどんな結果を招くのか知ってると思うんですけどねぇ。ヘルスケア大学といい、問題発生時の対応を間違えて事を荒立ててしまう経営者が多いですね。

 

ちなみに私はといえば、辻さんが指摘なさるまで、この問題を全く知らずにいました。というか登録した後、サイトを見に行ってませんでした。リテラシー低い行為ですね。反省です。

 

DMCA悪用で有名なのはタイの王室リゾートで裸踊りしたというこれね

 

医療情報サイト問題が多発しているが…

医療情報サイトの問題が多発する時代ですが、私がちょっと期待している医療情報サイトがあります。

MEDLEY

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東大医学部出身のお医者さんが中心になり立ち上げた医療情報サイトです。ここのニュースは医師および医療従事者が新しい論文などを読んで概要を書いてくれているので、いつも「へえ、そんな論文が出たのか」と楽しみにしています。煽り過ぎの題名もあまりなく、割と専門的な内容が多かったりする感じで、私が見た範囲ではあからさまなでたらめの情報が載っていたことはありません。

 

最初は医師向けの有料論文紹介サイトとして立ち上げたのですが、経営的に軌道に乗らなかったようで、ある日突然方向転換して、完全に患者さん向けの情報を発信しはじめました。しかしながらWelqなどが素人にバンバン書かせていたのに対して、こちらは医師などの医療従事者が書いているので記事数の伸びも遅く、字の多い教科書的な真面目な内容で、残念なことにお医者さんが書いてるので文章が硬くて一般の方にとっては読みづらく退屈。きっとアクセスも伸びなかったのでしょう、再度方向転換をしてやっぱり医療関係者もしくは医療に深い関心を寄せる人向けのエントリーに切り替えてきました。一般向けとも医師向けとも言えない感じでターゲットがはっきりしません。今後どうなっていくのかとハラハラしながら見守っているところです。余計なお世話ですね、はい。編集姿勢はとても良いので、この会社は存続して欲しいと思っています。

 

っていうか医師会とか歯科医師会とかがこういう真面目でしっかりした情報サイトを作るべきなんですけどね、あまりにもレガシーな組織過ぎて、トップの方々はご高齢でネットといえば「いんたーねっとえくすぷろーらー?」へたしたら「ねっとすけーぷなびげーたー?」(それはないか)って感じなので、SEO的に適切なサイトを作るとかはなかなか困難であろうと思われますが、本当の事を言えばものすごい人数の会員から集めてる会費をこういうことにドカーンと使ったら良いのに。

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