なかなか治らない口内炎・口角炎の正体 普通のお薬は逆効果かも
彼岸を過ぎて急に秋めいてきた大阪
そのころ群馬では…
(写真提供屋代先生)
格の違いを見せつけられましたね。夏に群馬県民に「いやー大阪もけっこう暑いですよ」とか言ってごめんなさい。二度と言いません。いや、やっぱり主観的には暑いから言っちゃうか。
さて、歯科医院には口内炎や口角炎がなかなか治らない患者さんがよく来られます。口内炎や口角炎には通常ケナログなどのステロイド軟膏が処方されますが、それを使っていてもなかなか治らない。それどころかますます悪化している、という症例にこの夏2例も出くわしました。
これ、結構多いんです。かなり長い間ものが食べられないほど口が痛くて患者さんにとっても、それを診ている先生にとっても非常にストレスフルです。
このケースに慣れた歯科医師なら話を聞いただけで、すぐに「あれだな」とピンとくるのですが、念のためお口の中を見てみます。すると、ベロや口蓋(お口の天井)が赤くなっていたり、まれに白くなっていたりします。その正体は何かというと口腔カンジダ症です。カンジダ菌というのはカビ(真菌)の仲間で、普段はおとなしくしていますが、体が弱ったり、加齢や服用しているお薬の影響で唾液が減ったりすると粘膜の上で暴れはじめます。いわゆる日和見感染ってやつです。普段はおとなしいくせに、相手が弱っているといじめに掛かる卑怯者です。
確定診断のためにはいくつか検査方法があるのですが、当院では、ベロの上をこすって、寒天培地の上にぬりぬりして、このインキュベーター(保温庫みたいなもの)でじっくり数日間培養します。
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インキュベーター(クロモアガーカンジダ培地という寒天培地で培養)
カンジダがいる場合はこんな感じで生えてきます。
治療は単純で抗真菌薬を口腔内に1週間塗布。同時に義歯をキッチンハイターで消毒。
「詳しく」というお声がありましたので加筆しますと
◆医療機関で処方してもらった抗真菌剤(どの系統でも効果はありますが、普通はアムホテリシンBシロップ)を口の中に塗ります。ついでにそれを歯ブラシにつけて歯を磨きます。1日に3回ぐらい。
◆奴らは義歯やマウスピースなど口に装着するものにも取り付いてるので、キッチンハイターで消毒します。1Lにキャンプ半分弱、5分以上30分以内ぐらいで良いと思います。キッチンハイターはカビに効果抜群です。
<注意点>
・キッチンハイターは1週間だけ使いましょう。また、既定の時間以上に「これでもかっ!これでもかっ!」と長時間漬け込んではいけません。義歯に使われている金属やプラスチックが腐食してしまいます。
・消毒が済んだらしつこく水洗いしましょう。強アルカリなので少しでも残っていると粘膜を刺激して痛いです。
するとどうでしょう。再検査したらこんな風に生えなくなるんです。このころには痛みもすっかり治まっています。さすが匠の技。
ゆーても、診断さえつけば治療は簡単なので技もへったくれもありませんが。
なんにせよ診断が大事です。未診断のままだらだらとステロイド塗り続けてると却ってカビがはびこって悪化するので要注意です。
歯科関係の方はこちらをどうぞ♪赤いカンジダも、白いカンジダも、一回写真を見とけば大丈夫♪
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編著:上川善明昭
著:生田 図南、津島 克正、福重真佐子
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