口内炎ができやすい人に朗報♪予防の切り札はあれなんです!
口内炎ってイヤですよね。何食べても美味しくないし、みかんなんか食べようものならしみて痛いし。
うちの患者さんの中にも始終口内炎ができてつらい思いをしている人がいます。
口内炎の原因
口内炎は粘膜表面が様々な刺激や体の内部の要因で炎症を起こしてできるものです。できる理由は様々で
・暴飲暴食で胃が荒れる(胃粘膜とつながった口腔粘膜もついでに荒れる)
・疲れやストレスで抵抗力が落ちて粘膜が荒れる
・口腔内の不潔
・食べたものや歯ブラシの角が粘膜に刺さる
・入れ歯が当たって傷になる
・熱いものでやけどする
・歯並びの加減で歯の角が粘膜に当たったり、同じ場所をしょっちゅう咬んだりする
・口の乾燥
・ウィルス
・食物や金属などのアレルギー
・ガン治療における抗がん剤や放射線の副作用
・ビタミンB2の不足
実は知り合いのある歯医者さんが歯科大学時代に口腔衛生の実験に参加しました。
それは口内炎とは無関係な実験で、お口の中を一定期間「これでもか!これでもか!」ときれいにする実験です。
すると、昔から歯列がガタガタで歯の先端が粘膜にあたり口内炎が始終生じていたのに、徹底的にお口をきれいにしている期間は全くできず、実験が終わり、普通の歯磨きに戻ったとたんまた口内炎が復活したそうです。
普段からきれいにしとけよ、という突っ込みはこの際おいといて、これはたった1人の事例ですが、実に示唆に富んだ経験です。
口内炎のでき方
1.粘膜に小さな傷ができる(実はしょっちゅう生じている)
↓
2.口の中のばい菌が傷にとりつく(唾液が減っていると特に起こりやすい)
↓
3.炎症が起こる(全身の力が弱っていると特に起こりやすい)
つまり、この流れのどこかのポイントをせき止めてやれば口内炎が生じなくて済むわけです。
口内炎の予防法
1.粘膜に小さな傷ができる
・かみ合わせの調整、歯の角を削って丸める
・入れ歯を合わせる
・優しく歯ブラシをする
・ゆっくり良くかんで食べる2.口の中のばい菌が傷にとりつく
・口の中をとにかくきれいにする
・唾液をたくさん出すようにする(水分をとる、良くかんで食べる、唾液トレーニングを行うなど)3.炎症が起こる(全身の力が弱っていると特に起こりやすい)
・休養をとる
・栄養をとる(特にビタミンB2)
口内炎ができてしまったときの治療法
1.塗り薬:ステロイド軟膏を塗って炎症を和らげる(症状の緩和目的、原因除去にはならない)
2.うがい薬(原因除去になる、ただし薬剤によっては、耐性菌の発生、含有成分の体内への蓄積、着色などもあり得る)
3.ビタミンB2の補充(不足してない人には効かない、不足している人はわずか10~20%)
4.徹底的な口腔ケア(副作用無しでみんなに効果がある)
そう、表題の切り札の「あれ」は「お口を徹底的にきれいにすること」だったのです。
「なーんだ」とがっかりしたかも知れませんが、このことは厚生労働省だってとても大事だといっているのです。
平成26年の保険改定でも重点項目に!
今年(平成26年)行われたの歯科の保険改定の重点項目は2つあって
1.在宅歯科医療を推進
2.周術期の口腔ケア
このうち2.はまさにこのことで、2年に1回しか行われない全国版大改訂のたった2つの重点項目のうちの1つがこれなんです。だから、注目度が非常に大きいんです。
専門的に言うと「歯科の周術期管理」という仕組みです。これは、手術(特にガン)を行う患者さんに対して、手術の前後(周術期)に口腔ケアを行うというものです。ガンの人に口腔ケアを実施したら、術後の感染、口内炎の発生、などが抑制され入院日数が短くなるという研究結果が出ているからです。
上の画像は厚労省が作成した保険改定に関する資料です。
なるほど口腔ケアを行った人は早く回復して早く退院していますね。
これは、術後の感染症が減少したり、口からたっぷり食べることができること、などが原因と考えられています。
ガン手術の前後には抗がん剤を使います。するとその副作用で口中に沢山の口内炎が生じます。また、口に近い領域に放射線治療を行うと、唾液が出なくなります。というのも唾液腺は放射線の影響をとりわけ強く受ける組織だからで、これまた口中口内炎だらけになってしまうのです。
1つできただけでもつらい口内炎が、口の中至る所に大量発生すると、痛くて痛くて口からご飯が食べられなくなってしまいます。すると体が弱ってしまうんですね。そんな人は痛くて自分で歯磨きができなくなってしまい、ますます口内炎ができやすくなります。そこで、歯科医師や歯科衛生士が、専用の器具を使って痛くないようにお口の中を徹底的にケアして、口内炎を減らします。すると患者さんはお口からご飯を食べられるようになって早く回復していくわけです。
たかが歯磨きと思っていても、こんなに大きな影響があるんですね。