河内長野市の歯医者・歯科医院 ふくしげ歯科 千代田駅徒歩10分 歯周内科(歯周病治療)

ふくしげ歯科
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ご飯の味がしない!夏に多い味覚異常の原因は?

2014.07.21
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空を見上げると入道雲がモクモクわいて、いよいよ夏がやってきましたね!

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夏に多い「ご飯の味がしない」という味覚異常

暑い夏は、毎日美味しくご飯を食べて元気に乗り切っていきたいものです。ところが夏は、元気の源のご飯の味が分からなくなり、美味しくない、という症状が出やすいんです。数年前のお盆のころ、家族の一人が「何だかご飯の味がしない」と言い出しました。こんな事は初めてです。一体、何が起きたのでしょうか?そして、他の人には起きないのに、なぜ1人だけそうなってしまったのでしょう?

そもそも、味を関知するのは主に舌です。舌の粘膜に埋まっている味蕾という化学センサーが味を感知しています。味蕾は舌のざらざらやイボイボの表面にあります。

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グリコより

断面を顕微鏡で見るとこんな感じ

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東海大学医学部基礎医学系のサイトより

上の写真から味蕾1個だけ切り取るとこんな感じ

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味蕾の「蕾」ってのは「つぼみ」と読みますが、本当につぼみみたいな形をしていますね。

私も歯科大で勉強していたときに顕微鏡で観察しましたが、その時は「ムラサキタマネギみたい」と思いました。(ちなみに紫色に見えるのは、よく観察できるように色素で染めてあるのです)このムラサキタマネギ1つ1つが、味を感知してくれるおかげで「ああ、美味しい」と感じる事ができるわけです。ちなみに味蕾は舌の上だけでなく、歯ぐきや口の天井などにも存在していて、口全体で味わっているんです。味覚異常はこの味蕾の働きが低下する事で起こります。原因は

・味蕾が萎縮したり数が減ったりする(加齢、貧血)
・唾液の減少(加齢やシェーグレン症候群という病気などで起こる)
・お口の粘膜の感染症(カンジダなど)
・薬の副作用
・放射線治療の副作用
・歯周病
・心因性
・神経の異常
・栄養不足

それに対する対処法は

・貧血治療
・唾液不足の治療
・カンジダ除菌
・副作用を起こしている薬の使用中止や他の薬への変更
・放射線治療中の口腔ケア
・精神・神経からのアプローチ
・栄養補給

です。

さて、この中で特に夏場に多く見られる味覚異常は一番下の栄養不足によるものです。一体何の栄養が不足しているのかというと

亜鉛(Zn)

です。

ミネラル不足と言えば貧血を起こす鉄分不足は皆さんよくご存じですが、亜鉛不足ってあまり聞いた事がないかもしれません。でも、亜鉛は鉄の次に必要量が多いミネラルで、粘膜や皮膚や髪の毛のターンオーバー、糖分の代謝、アルコールの分解、生殖細胞を作る事などありとあらゆる生命活動に関係しています。

亜鉛不足に特別弱い味蕾

さて、話を味蕾に戻しまして、味蕾は体の中でも特にターンオーバーが早く約10日で入れ替わっています。皮膚は28日ですからずいぶん早いんです。亜鉛が不足すると、味蕾のターンオーバーが行えなくなり体の中に真っ先に異常が現れるというわけです。よく考えたら全身に先駆けて味覚異常が現れてくれるので、全身がぼろぼろになる前に早く気づけてありがたいですね。

「味がしない」という症状があって、なおかつ亜鉛不足以外の原因がなさそうなら、まずは亜鉛の補給を行います。既にひどく不足しているので、手っ取り早く亜鉛サプリを飲むことになります。鉄剤って病院でもよく処方されますが、亜鉛剤を処方されたってあんまり聞いた事がないです。なのでサプリを使う訳です。

ちなみに、亜鉛を食物から摂ろうと思うと

カキ、牛肉、レバー、卵、チーズ、煮干し、ハマグリ、たらこ、ごま、松の実

などにたくさん含まれているようです。特にカキは他を圧する亜鉛含有量を誇っています。ちなみに亜鉛を取るときは、ビタミンCと一緒に摂ると吸収がいいようですので、カキフライにレモンを搾るというのは大変理にかなった食べ方なのです。

ところで、亜鉛不足が特に夏に起こりやすいのはなぜなのでしょうか?同じものを食べているのに、特定の人だけに味覚異常が出たのはなぜなのでしょう?

秘密は汗にありました。汗は微量ミネラルを含んでいるため、大量に汗をかくとミネラル不足に陥りがちになるのです。(逆に「重金属のデトックスに汗が重要だ」と言う人がいるのはそういうわけなんですね)そう、特定の人だけに味覚異常が出ていたのは外仕事をしていたからなんです。外仕事やスポーツで汗を大量にかく人は、亜鉛を多く含む食べ物を摂るようにしたり、暑い時期だけでも亜鉛サプリを使用するようにして、亜鉛不足を防止すると良いでしょう。また、アルコールを摂取すると分解の過程で亜鉛が消費されますので、夏にスポーツで汗かいて美味しくビールを飲むときにこそ亜鉛が必要というわけです。

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ちなみに、当家で起きた味覚異常は亜鉛サプリを飲んで1ヶ月ほどで元に戻りました。でも、長い間亜鉛不足が続くと、味蕾が本格的に死滅して味覚が元に戻らなくなる事もあるので、素早い対処が必要です。ご家族があり得ないほどしょう油をかけたり、料理の味が異常に濃くなったりしたら、もしかしたら味覚異常かも知れませんので気をつけてあげて下さい。

でもカキの旬って冬なんじゃ・・・・

というわけで、圧倒的な亜鉛含有量を誇るカキは夏にこそ食べたい食材なのですが「カキって冬が旬なのでは?」という気がしませんか?実はそれは真牡蠣の事で、岩牡蠣という夏が旬のカキもあるんです。

真牡蠣 10月~5月
岩牡蠣 6月~9月

夏には岩牡蠣にレモンを搾って、食べると良いんですね。

冬の真牡蠣 かぎけんWEBより

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夏の岩牡蠣 旬旬食彩ダイニングより

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どっちも美味しそう・・・(ヨダレ)

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