そこのお嬢さん歯科衛生士になりませんか?技術革新で色んな仕事がまるごと消滅しそうな昨今、どんな仕事だったら仕事消滅の憂き目に遭わなくて済むのか? (前編)
夏休みと言えば、学研の「科学と学習」という月刊誌の「科学」の方についてくる付録の顕微鏡や望遠鏡やカメラやラジオ作成キットで楽しく遊んだ思い出があります。ミジンコの培養では温度管理に失敗して、生臭い懸濁液になってしまった苦い記憶も・・・・
そうそう、こういうので夢中になって実験したのです。
私が育った20世紀後半は科学の万能感が非常に大きく、子どもたちも科学の発展に夢を託していました。そして、科学が発達するとその分人間は幸せになれるという信念のもと、世界中で国を挙げた技術革新が行われていました。しかし、21世紀に入る頃にはその信念が妄想であったことにみんなが気付くようになりました。技術革新によって環境の破壊や汚染、資源の枯渇だけでなく、人々の生活を脅かす別の問題が生じてきたからです。
シルバードライバーと自動運転車
話は変わって、皆さんは車の運転をしますか?私は住んでいる地域柄もあって、よく車に乗るのですが、近年シルバードライバーの増加を肌身で感じるようになりました。シルバードライバーマークをつけた車がウィンカー出しっぱなしで長い距離を走行していたり(おそらく聴力に問題があると思われます)、店舗駐車場などから危険なタイミングで唐突に飛び出してきたり(縄跳びに飛び込むタイミングがはかれない)など、キモを冷やす事が昔に比べて俄然多くなっています。実際に高齢者による事故も増加の一途をたどっているようでして
このグラフは原付以上のものを運転している高齢者が起こした事故件数のグラフです。全免許保有者に占める事故を起こした人の割合は1%程度とあまり変化していないけど、なにせ母数がメチャクチャ増えているので、事故数は右肩上がりに増えているのです。
「うちのおじいちゃん、運転がおぼつかないのに車に乗るのをやめてくれない」という悩みはよく耳にしますし、運転をやめたは良いけど実は足が悪て車なしではどこにも出かけられない、などという話も聞きます。これだけ超高齢社会になると高齢者の足回りの問題が大きくクローズアップされてくるわけです。
ちなみに皆さんご存じかも知れませんが、日本はもはや高齢化社会ではありません。そういう段階は既に終わっています。
◆高齢化率による社会の分類◆
高齢化社会 7~14%
高齢社会 14~21%
超高齢社会 21%以上
2012年(平成24年)10月1日の時点で日本の高齢化率は24.1%なので超高齢社会に区分されます。ちなみに2035年(平成47年)には33.4%、全人口の実に1/3が高齢者になると推計されているようです。
自動運転の時代が来る
そんな中、自動運転車が数年後に実現するという話が何度も報道されていて、発売されたらそれに乗って再びあちこち出かけたいと願っている高齢者はたくさんいると思います。明日は我が身ですので、自動運転は本当にありがたく早く実現して欲しいと思います。鉄道ですと東京の「ゆりかもめ」などは無人運転していますよね。
ところがです!この自動運転、労働という観点から見ると難しい問題を引き起こすかも知れません。というのも、雇用の大きな受け皿になっている、ドライバーという職種が消滅してしまう可能性があるからです。
いつの日か、自動運転が完璧なものになり法整備が完了し、車両が無人でも走行できるようになった途端、車を運転する関係の仕事は消滅してしまう可能性があるのです。ここで、技術革新によって人が行う業務量が激減するであろう仕事をいくつかあげてみます。
【その1】ドライバー
先ほどお話ししたように自動車が上記のような状況になると、配送の仕事なんかは、きっと、宅配トラックが家の前まで行くとスマホ(その頃スマホなんてものが存在しているかどうかは分かりませんが)に通知が行き、家の人が玄関から出て、スマホかなんかをセンサーにかざしてピピッと本人であることを認証したら扉の一部が開いて荷物を受け取ることができるとか。通常サイズの宅配の荷物なんかは、規格のコンテナみたいなもので運搬されて、建物に設置されているそれ用のパーツにガチャンと接続されて、それには電気なんかが通って、帰ってくるまで保冷もしてくれるとか。そんでもって、それに合致しないものだけ人手で運ぶようになったら、宅配のドライバーさんは今よりずっと少ない人数でよくなっちゃうんじゃないかなぁ、と思うわけです。
タクシーなんて、駅では無人のタクシーがお客を乗せ、スマホ的なもので配車予約もできる。決済は電子決済で行い、ドライバーがいないから今と同じサイズの車に5人乗れるわけです。人を下ろした後は勝手にホームポジションまで帰ってくる。人件費がかからないから、運賃も安くなるでしょう。配車係もドライバーもほとんど要らなくなっちゃうわけです。これって、エレベータの自動運行やマンションのオートロックシステムと同じですね。昔はどこでも人が立って管理していたものです。難波高島屋でも最新式のエレベータが設置されたため、今となってはエレベータガールを見かけることは少なくなりました(混んでるときだけとかね)。逆に旧式エレベータが残っている、東京日本橋高島屋には昔懐かしいエレベータガールが今もいるのです。あれも時間の問題で無くなるお仕事です。
【その2】自動車学校
運転しないで単に乗るだけなので、免許が要らない。してみると、今の若者たちが免許を取らないのは、もしかしてこんな未来を無意識に予見しているのかも知れません。ただし、免許制度には様々な利害関係が絡むでしょうから要らなくなっても当面は無理矢理残す可能性があります。
【その3】コールセンター勤務者
音声認識や人工知能が発達すれば、定型的な受け答えは機械がするようになるでしょう。難しい案件のみ人が対応するので、必要な頭数は激減します。実は10年ほど前、ITの発達により通信費が安くなったため、コールセンターは語学が達者で人件費の安い国に移設されました。「グローバル化で先進国の時給の高い労働者は国外の労働者と仕事を取り合うことになる」という話が多く聞かれました。しかし、これからはさらに進んで、外国人じゃ無く人工知能(器械)に仕事を奪われるわけです。昔ならサポートセンターに電話した要件でも、今はほとんどネットで調べて解決しちゃってますものね。既に機械に仕事を奪われているわけです。コールセンターの中の人の話によると、現場では仕事が減りに減って激しいリストラが行われているようです。ま、これはその会社だけの現象かも知れませんが、じきにあの業界全体がそうなる事でしょう。(もうなってるのかしら?)
【その4】高齢者の見守り・話し相手
高齢者とコミュニケーションをとる存在として、ふかふかのカワイイ対話型ぬいぐるみが既に活躍中です。昔、流行ったファービーというコミュニケーションをとるタイプのおもちゃが何故か我が家にあり、対応が通り一遍で見た目もあの通りなのに、いじってコミュニケーションをとっているうちに何だかかわいく感じて、感情移入をしてしまった経験があります。だからきっと、この対話型ぬいぐるみはとても良い話し相手になるのではないかと感じています。(少なくとも子供や孫のように「その話は何度も聞いた」などと話を遮ったりしないわけです)各種センサーや人工知能を搭載して、体調や言動の見守りを立派にやれる日が来ると思います。
ぼくファービー!(ヨドバシでまだ売っていた!現時点で5,890円在庫僅少だそうです。ご注文はお早めに!)
人工知能が雇用奪う未来
そんなことを感じていたある日、この記事を読み腑に落ちたといいますか、漠然と思っていたことをはっきりと表現してくれたという感じがしたわけです。
朝日新聞「(異才面談:3)国立情報学研教授・新井紀子さん 人工知能が雇用奪う未来」より
■事務労働1割失う
「敵というより、人間の雇用を奪うライバルにはなるでしょう。とくにホワイトカラー労働者への影響が心配です。含意関係認識の機能を備えた人工知能が誕生すれば、事務労働の1割くらいが機械に置きかえられるかもしれません」
「さらに〈1千字の内容を50字に要約する〉といった論旨要約までできる段階に進めば、影響を受けない事務労働者は、おそらくいないだろうと思います」
――人間にしかできない仕事だってあるでしょう?
「税理士の仕事を機械に置き換えるけれど、居酒屋の店員は置き換えない、というようなことはあるでしょう。でもそれは単に機械にやらせやすいものから置き換える、という技術側の都合でしかありません」
■挑戦支える社会に
――その事態に社会はどう向き合えばいいと?
「まず教育は抜本的な見直しが求められます。たとえば機械翻訳が発達すれば英語教育が10年後も必要かどうか。難しいのは、教育を見直す速度に比べて機械の発達のほうが速ければ、せっかく努力して身につけた教育が役立たなくなってしまうことです」
時代の変化が激しいので、高校卒業後何年も掛けて身につけた知識や技術が無用になる可能性があるのです。これからの世の中を生き抜いて行くには、どれほど時代が変わっても無用にならない知識や技術を身につける必要があります。
ぶっちゃけ、はしっこくてどこに転がしていてもたくましく生き抜いて行くタイプの子はどう転んでも大丈夫なので放っておけばよく、むしろ真面目でコツコツやる融通の利かないタイプの子や、ボーッとしたタイプの子は20歳前後で進路をよく考えなければ本気で食えなくなる可能性があります。
SFに描かれていた未来という時代はすでに到来済み
小学生の頃ワクワクしながら読んだSF小説の未来の世界ではロボットが何でも人間の代わりにやってくれて、人間は悠々自適で楽しいことばっかりやって暮らしているという生活が描かれていました。別のSF映画では機械が人間の敵となり、お互いに滅ぼし合うほど激しく戦争をしていました。そして近い将来に起こる事はその中間で、機械が人間の代わりに仕事をやってしまう雇用上のライバルという状況になりつつあるというのが現実なのでしょう。
さてさて、色んな仕事が消えてしまったり、消えようとしていたりする今、じゃあどんな仕事なら「仕事そのものが消滅する」という憂き目に遭わずに済むのでしょうか?そのお話は後編にて。(って題名でネタばれしてる?でも、それだけじゃないんだってば)