今日は「ベロの状態が正しければ歯は自動的に正しく並びますよ」という単純だけどみんなあんまり気づいていないことをお話しします。
桜が散りいよいよ春爛漫の季節です。患者さんからもツクシの梅佃煮をいただいたいりして、口の中からも春を実感しています。
医院玄関の桜草。雨で散った花びらさえも愛らしい花です。
そんな春爛漫の4月1日。当院は遂にこの春採用の新入社員の最後の一人が入社してきました。そう、あの技工机にも遂に主ができたのです。
↑ ↑ ↑
出勤初日から新人とは思えないしっかりとした働きぶりでみんなを喜ばせた新人技工士Hです。笑顔がとっても良いんです。今のところ後ろ姿だけで・・・・医院でお目に掛かりましょう!
他にも、コツコツ真面目に取り組むビュンビュン成長中の土佐っ子N、入社していきなりベテランの風格と気遣いを発揮するパートのK、さらに夕方の忙しい時間に歯科助手の補助をしてくれるアルバイトのK&Kの高校生コンビ、と5名の新戦力を得て、より良いふくしげ歯科を目指してまいります。気がつけばKの人がえらく多いなぁ。ふくしげ春のK祭り状態です。
さて、本日の話題は歯並びです。歯並びは人それぞれですが、適当にそこに並んでいるというわけではありません。その歯がその場所にその角度で生えるにはちゃんとわけがあります。そもそも、歯並びを決めているのは顔の骨の形だと言われていますが、その骨の形や歯並びに直接大きな影響を与えているのが実はほかでもない舌なのです。
舌=ベロ
一般の方は意外に思われるかも知れませんが、多くの歯科医師にとっては当たり前のことです。
人の歯並びがこうなっているのは、それが舌の形だからです。
グレイ解剖学より
要するに歯並びを裏からベロが支えているんです。(手袋をしたわたくしの指をベロだと思いなせえ)
舌の位置が悪くて裏から支えてあげられないと
唇に押されてぐちゃっとつぶれてしまいます。(私の手が3本あるわけじゃないですよ)
そう、歯は唇と舌とで押しくらまんじゅうしてバランスが取れたところに並んでいるに過ぎないのです。
そもそも歯が生えるとき、最初からプロの車庫入れみたいにきちんとしたポジションにバシッと生えてくるわけではございません。
すご!
歯がはえてくるとき、本来生えるべき場所から少しずれたところに適当に頭を出します。頭を出した歯はベロや唇などの粘膜でキュッと挟まれて、その隙間に潜り込むように伸びながら移動していくのです。
実は「無舌症」という病気があって、生まれつき舌がない人がいます。その人の歯列は裏から全く支えてもらえないため、唇に押されて潰れてしまっています。
はじめてこの写真を見たときは、衝撃を受けると同時に「ああ、本当に歯は舌の回りに並んでいたのだな」と納得したものです。ベロが無いというだけでこれほどの状態になるとは・・・・
つまり、歯がこうなのは
ベロがこうだから
矯正治療の観点から言うと、成長期にベロが後ろからしっかり押してあげれば、別に矯正治療なんかしなくてもまーるくきれいに並ぶわけです。
そして、私たち歯科医師は長年舌がきちんと歯の内側にぺたんとくっついてくれるように、トレーニングを行ったり、舌にプチ手術を行ったり、あの手この手でトライし続けてきました。しかし、トレーニングは患者さん自身が行うものなので、なかなかちゃんとやってもらえません。舌に対するプチ手術も一時的には良いのですが、根本的な解決になるほどの効果が得られませんでした。
舌
このままならぬものに翻弄され続ける私たちなのです。舌について話し始めたら2時間は止まらないぐらい色々なことがありまして、って「そんな話興味ないわ」という人も多いと思うのですが、それがねぇ、一部のベロマニアの人々が、長年ベロに興味を持ち、ベロのことを考え続けて来たために思いがけず面白いことが色々わかってきたんです。それはまたおいおい書いていきたいと思います。