台風一過、きらきらの秋晴れです。河内の国は昔から台風被害が少ない場所でして
こんな状況の時にも
この程度の風しか吹かず
ある程度雨は降りましたが、無事にやり過ごすことができました。
昔から繰り返し都が置かれてきた京都・奈良・大阪などは四方を山に囲まれて台風の風がほとんど吹き込んでこない構造になっているんですね。昔の人はよっぽど台風が怖かったものと思われます。
でも、すぐ近くの泉州では水害が起こっていたようですので、早くの復旧が実現することをお祈りしております。
さてさて、今日はうつぶせ寝についてお話しましょう。
日野原重明先生が新聞や本などでよく勧めておられるうつぶせ寝ですが、先日もソーシャルなどで関連記事が回っていましたが、少し誤解などもあるようですので、私の知る範囲でまとめてみたいと思います。
<名称>
意識して行う うつぶせ寝を「腹臥位療法(ふくがいりょうほう)」と呼ぶ。
<対象>
基本的には寝たきりの方、寝たきりになりそうな方。
呼吸器疾患を持つ方、無呼吸症候群の方などにも有効。
<目的>
寝たきり状態によりこわばった体や関節をほぐす(体が動きやすくなる)
リラックス効果(脳波の改善)
脳の機能向上(意識レベルが向上、コミュニケーションの改善)
呼吸が深くなる(緊張が解ける。また、あお向けでは重力でノドの方に落ちていた舌が、うつ伏せでは前に落ち空気の通りが良くなる。)
呼吸器疾患の改善(痰が肺に誤嚥で流れ込むのが、前に流れ出すから?)
睡眠時無呼吸の防止
どんな風に臨床に活かされているのか
こちらなんか良くまとまっています。その他、文献などにも当たってみたところ、やはり寝たきりの方への実施が多いようです。寝たきりの人をうつ伏せでしかも両手のひらを顔の横辺りで下向きにすると本当に意識がハッキリしたり、会話が復活したり、ノドに絡まっていた痰が外に出て呼吸器疾患が改善したりと、様々な効果があるようです。基本的には介護者が見守っている中で行われます。窒息やどこかがどこかが痛くなるリスクがありますからね。
また、歳を取ると誰でも口まわりの筋肉が衰えてきますので、イビキや無呼吸が出るようになります。その防止のためにうつぶせ寝をするというふうに使われる事もあるようです。日野原先生が推奨されているのはこの目的ですね。
デメリットは無いのか?
あります。寝たきりの人に実施する際には以下のような注意が必要です。
●寝たきりの人の場合、頭を持ち上げることができなかったり、意識が低下している事がありますので窒息してしまう可能性があります。そのため、介護者が見守っているときに実施します。
●こわばっている関節を無理矢理動かすと、関節を痛める可能性がありますので、枕や丸めた毛布などでその人に合わせた体位を取るようにします。
健康な人に推奨できるか?
結論としてはあまりオススメできません。メリットに比べてデメリットが大きすぎるからです。
<健常者へのメリット>
脳刺激&リラックス効果。仰向け寝より若干効果的というデータもある。1日に数十分なら良いかも。
<健常者へのデメリット>
・顎関節症(アゴを不自然な方向で抑え続けることで起こる)
・歯並びが崩れる(長時間一定の方向から歯に圧力を加えると歯は簡単に動きます)
・首や肩がおかしくなる(真下を向いて寝るのは難しいので首や肩をねじって寝ることになる)
・顔の骨が片方に曲がる(特に子どもの場合は大きく変形し、ぱっと見ただけですぐ分かるぐらい左右非対称な顔になることもあります。)
睡眠時無呼吸症候群の人にはどうか?
そもそも睡眠時無呼吸の傾向がある人は、気道を確保するために横向き寝やうつぶせ寝をしていることが多いです。
そうじゃ無い人で睡眠時無呼吸がひどい人にうつぶせ寝をさせると呼吸機能がアップする効果が認められています。健常者へのデメリットを上回るメリットが得られるのであれば取り組んでみても良いでしょう。
というわけで、有名人それも滅法元気で長生きな人が取り組んでいるからといって、闇雲に真似してはいけないんですね。